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 風を切りながらショートカットのローラーブレードを付けた少女が公園を走っていく。まだ肉付きの薄いしなやかで細い腰を俺は眩しそうに眺めていた。
[少女]「ひゃっほー」
[俺] 「ふむ、元気な少年だ」
[少女]「こらぁ、誰が少年だぁぁーーー!」
[俺] 「お前に決まっておろうが。惜しげもなく晒したその胸、全然ないではないか」
[少女]「なんだって、5年生になって少しは大きくなったんだぞ。クラスでも、9番目なんだから!」
[俺] 「なんと、見立て違いだったか。いや目の錯覚なのかやはり膨らんでいるようには見えないぞ。
    うむ、ここは触って確かめてみるしかあるまい!さぁ、こっちへくるが良い」
[少女]「何が、来るが良いだーーー! バカ! 変態ーーーーー!」
 どがぁっ!
 少女の回し蹴りが一閃。
 俺は顔面を蹴り飛ばされ、小石の散らばった地面に背中を擦りながら数メートル滑った。
[俺] 「いたた…冗談の通じない奴だなぁ」
[少女]「うそつけ! 目が本気だったじゃないか!」
[俺] 「なんと、俺の目はなんて正直なんだーーー!」
[少女]「もしかして、君ってバカ?」
[俺] 「うふ。そうはっきり言われると恥ずかしい」
[少女]「……………」
[俺] 「うう、やめろ。そんな目で俺を見るなーーっ」
[少女]「……………………」
[俺] 「うあぁぁーーっ。そんな、蔑んだ目で俺を見ないでくれーーーーー!」
 涙を拭いながら走り去る俺に向かって、少女はぽつりと呟いた。
[少女]「……………バカだ」
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